無題


くらしケアの経営理念は「看護の力で地域を変え社会を変える」です。

「地域を変え社会を変える」には偏見をなくすという決意を込めています。

私たちの目指すゴールは「親なきあと問題の解消」ですが、親なきあと問題を解消するには、2つのアプローチが必要だと考えています。

ひとつめは親なきあと問題に直面する(するであろう)人たちでもある障害者や家族に対する直接的な支援によるアプローチ。

そしてもうひとつは親なきあと問題を抱えなくても良い(気にしなくても良い)社会にするための人々の意識を変えていくためのアプローチです。

医学モデルと社会モデルという言葉がありますが、近代の障害福祉は社会モデルに基づいた思想が主流となっています。

それはつまり障害はその人本人にあるのではなく社会の側にあるという考え方で、主に身体障害者を念頭に置いてサービスや施設整備が進められています。

しかしながら精神障害者に関しては、メディア等で報道される過激な事件が影響してか偏見が根強くあり、誤解も多い現実がありますが、それらの偏見を取り除くことで精神障害者の方を地域で支えることができれば、たとえ親が亡くなっても安心して暮らせる可能性が出てくるはずと考えています。

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昨日、ある映画を観てきました。

岐阜県出身の若き映画監督が作った作品で「夜明け前」というタイトルの映画です。

今から100年前、精神病に有効な治療法が無かった時代に座敷牢(ざしきろう)に隔離された精神病者(精神障害者)を救おうと奔走した「呉秀三」という精神科医を取り上げた映画ですが、この映画で最も伝えたかったことは、偏見をなくすことの重要性でした。

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※座敷牢の写真。ネットからお借りしました。

当時の精神病者には人権は無いに等しく、当時同時期に施行された「精神病者監護法」という法律により座敷牢がたくさん作られた時代です。

呉秀三は海外の開かれた精神科医療と当時の日本の精神科医療(医療というより監護・監獄)のギャップに強い疑問を抱き、精神科医療を変えていく決意と努力をした医師で、全国の座敷牢を調査。実態を知ることで貴重な気づきを得るに至ります。

座敷牢から一歩も出られない生活を強いられていた人権無視の座敷牢もあれば、座敷牢から時々出ては、作業を手伝わせることで、いまでいう作業療法的な家族看護を実践していた例もあることを知ります。

座敷牢が増える原因は病院が足りていないためで、この研究をきっかけに病院が増えていき、座敷牢は急速に姿を消していくことになりました。

座敷牢で家族に看護(監護)を強いるのではなく、欧州のように病院で開かれた看護が提供される時代が始まるはずでした。

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しかし、現代の日本の精神科医療は病床数世界一という不名誉な現実があます。地域移行は順調に進んでいるとはいえず、世界のトレンドとは真逆となっています。

呉秀三が思い描いていたのは欧州のような開かれた精神科医療であり、日本で再現したかったはずです。

しかしながら、現代の日本の精神科医療は患者の囲い込みという問題や、身体拘束などの問題も増え続けており死亡者も出ています。

ハッキリ言えば、日本の精神科病院がある意味で巨大な座敷牢になっていると言わざるを得ない現実があるのです。

精神障害者が地域に移行できないのは地域の無理解や偏見が影響していることは間違いありません。

その点で先進的なのはベルギーで、精神科病院経営者の賛同を得て急速に病床数削減を実現したのですが、その背景には病棟に投じていたお金と人材を訪問型のアウトリーチに変えたことで病床数削減と地域移行を実現させています。

くらしケアは主治医と連携してアウトリーチを行い、ケアのみならず様々な支援やサービスを付加して提供することで地域移行をサポートしていますが、実際に支援を行っている私たちの実感としては、医療や福祉の支援が適切であれば健常者となんら変わりのない地域生活が実現できるということです。

適切な支援を提供することでなんら問題のない文化的な生活が出来ている現実を目の当たりにすると、そもそも偏見があること自体に強い違和感を覚えます。

呉秀三の活動や思いに触れ、くらしケアの掲げる理念はまったく間違っていないと再確認。

くらしケアの強みのひとつでもある居住支援を通じて、病床数削減と地域移行につなげていけるのではないか。

そんな確信をも持ちました。


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