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医療的ケア児の増加に伴い生活上の課題が顕在化しています。

例えば保育所へ通えないとか、普通級の学校に通えないとか。

その影響を受けて親が思うように働けないなど社会参加できないといった問題も起きています。

これらの問題はくらしケアの事業立ち上げ前から認識してて、自分たちにも何かできないかと思ってて。

解決策のひとつとして放課後等デイサービスなどのいわゆる「制度サービス」を立ち上げて対応する方法を考えていました。

約3年が経ち、ようやく立ち上げたのが障害児通所支援事業のここぱーく。

重症心身障害児(以下重心児)向けデイサービスの仕組みを活用して立ち上げましたが、実際に始めてみると理想と現実のギャップがあり、微修正しながら運営しています。

9月から重心児向け児童発達支援の制度を活用したサービスも立ち上げましたが、これも微修正した結果で、顧客ニーズにあわせて変化させています。

重心児向けの制度サービスを活用する理由は、発達障害などの一般的な放課後等デイサービスと比べて報酬単価に約3倍もの開きがあるからですが、重心児向け制度サービスを始めるため看護師や保育士など専門的な資格を持つスタッフの雇用が義務付けられていますし、定員は1日5名と一般的な放課後等デイサービスの定員10名の半分で運営しなければなりません。

報酬は3倍でも運営に必要な支出に見合う報酬設定のため、いわゆる「儲かる」というものからは程遠く、重心児が毎日5名通ってくれてようやく採算が合うという制度設計となっています。

そこで問題になるのが医療的ケア児を預かる場合の事業所に入る報酬の問題です。

実は、医療的ケア児の報酬は少なく、重心児とは見られないこともあるため、事業所に入る報酬は重心児の3分の1。

発達障害や知的障害のお子さんが通う一般的な放課後等デイサービスの報酬単位とほとんど変わりません。

医療的ケアの必要なお子さんは言うまでもなく医療的ケアが必要ですから、看護師の配置は当然に必要で、運営にはそれなりに人件費がかかります。

しかし事業所が受け取れる報酬が少ないため医療的ケア児を預かるインセンティブが働かない現実があります。


その結果、現場で何が起きるかといえば「利用者の選別」が起きます。

A君は預かるけどB君は預かれない、ということです。

重心児判定が出ない医療的ケア児は一般的な放課後等デイサービスと変わらない報酬のため、事業所は積極的に受け入れようとはなりにくいのです。

そんななか、なぜくらしケアが医療的ケア児を迎え入れるのか?

その答えはただ単に「必要だから」としか言いようがなく、うちがやるしかないと思ったからです。

自ら掲げる事業のテーマに「世の中に足りてないものをつくる」というものがあります。

現在展開する精神科訪問看護もこの考え方に沿ったものですが、実は『ここぱーく』もこのテーマに沿い、つくる必要があると経営サイドで判断してつくりました。

中小零細企業の場合、報酬が低い医療的ケア児を迎えれば経営は大変だから受け入れが進まないのはある意味で仕方がないと思いますが、会社が大きければ大きいほど全体で採算が取れていれば良いという考え方が成り立ちます。

大きな会社になれば、CSR的な発想で健全な赤字部門があっても良い、というのが私の考えです。

※CSRの意味はこちらを参照してください。

もちろんくらしケアはまだ小さな会社なので出来る範囲でしかやれません。

しかしここぱーくに通ってくれているお子さんの笑顔に私もスタッフも癒やれ、お金には変えられない素敵な報酬をたくさん受け取っています。

それに、親御さんに喜んでいただければ良い評判を生んだり信用が高まるでしょうから会社経営にマイナスはひとつもないと思うのです。

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※誕生日にサプライズのお祝いをしてくれたスタッフと子どもたち。この笑顔がプライスレス。


ここ数日の震災や台風で大きな被害が出て困っている人が各地にいますが、会社が大きくなれば無償の活動もできます。

例えば経営陣や有志のスタッフがボランティアに出向いても経営に影響しないと思いますし、寄付も大胆に行えます。

しかし中小零細企業のままでは無理でしょう。

くらしケアが大きくなれば多少のマイナスはなんとも思わないようになるはずだし、良いことを行えば、良い人材も集まり良い循環が生まれると思います。

その大前提として、経営者が会社を大きくしたいと考えていることに対してスタッフの理解が必要ですが、くらしケアの理念や目指す世界観が理解できるスタッフは、同じ方向を向いてついてきてくれると信じてます。

加えて、スタッフの物心両面の幸福を実現するためにも会社を大きくするのは間違っていないはずだし、困っている人のためにもむしろ大きくしなければならないと思っています。

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