現在の事業にはあまり関係ないですが、アパート経営の問題点について書きたいと思います。

今年に入ってからでしょうか。賃貸不動産業界ではサブリースを売りにする業者が家賃保証を一方的に打ち切ったり、業者自体が経営破綻するケースが増えています。

例えば1,000人近いサラリーマン大家に1棟1億円のシェアハウスを販売、サブリースで短期間に急成長したスマートデイズ社(旧:スマートライフ社)が一方的に家賃の送金をやめたことで社会問題になっています。

スマートデイズ社は不動産投資に興味のある公務員やサラリーマンに対して、30年間、一定の家賃を保証する約束でシェアハウスを販売していました。
このシェアハウスの多くは都内での販売、土地付きで販売されていましたが、実態は土地の価格は割高、建物に関しては本来の建築費の倍近い値段で販売して多額の利益を得ていたようです。

そして肝心の入居者がほとんどおらず、スマートデイズ社に家賃が入ってこないため、土地建物を販売した利益でサラリーマン大家に家賃を送金するという、ハナから自転車操業で経営がなされており、破綻は来るべくして来たようです。

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似たような事業を行う業者の経営破綻も相次ぎ問題になっていますが、こうしたシェアハウスの販売に一役かっていたのがサブリースのスキームとスルガ銀行。

億単位の多額な融資をするため、30年間確実に家賃収入があるようにみせかけたり、サラリーマン大家の預金通帳を組織ぐるみで改ざんして融資を受けやすくするなどメチャクチャな融資を実行。

先般行われたスルガ銀行の株主総会は大荒れだった模様です。

…で、長くなりましたが、シェアハウスに限らずアパートなどの賃貸経営の問題点について。

それは「家賃相場があるようで無いから」というのが個人的に思う問題点です。

不動産投資の世界は利回りで物件価値が決まります。例えば、あるアパート1棟10部屋の家賃収入が毎月100万円あるなら年間家賃収入は1200万円になりますが、これを表面利回り10%のアパートとして売りたければ1億2千万円になるし、7%なら1億7千万円ということになります。

この「表面利回り次第」で不動産価格が決まりますが、儲かる不動産投資と見せかけることはレントロールに書いてある家賃と入居率で簡単に操作できてしまう。

つまり、家賃収入次第で物件価格を変えられてしまうのです。

新築シェアハウスやアパートの場合、建物が完成していないから家賃はあくまで想定なので「建てたらこれくらい家賃が入りますよ」という予測に基づきますが、想定家賃を意図的に高く設定することで儲かる投資に見えてしまうという問題があります。

先の例では1部屋10万円、10室100万円で、年間1200万円と示しましたが、1部屋11万円と想定家賃を1万円アップすると10室で110万円、年間1320万円なので、表面利回りを同じ10%だとすると、1億3200万円の物件として売りに出すことができます。

なぜこんなことができてしまうかというと「家賃相場」というのはあってないようなものだから。株式相場のような円単位ではなく千円単位で決まるためブレがあるのです。

不動産会社でも家賃相場を正確に答えられる人はおらず「だいたいこのくらい」という表現になる曖昧さがあります。

ましてや家賃査定のプロでもない限り家賃設定の妥当性を判断することは極めて難しく、提示された家賃設定が妥当なものかを判断することは困難な現実があります。不動産投資の世界では事業計画自体の妥当性を検証するのはかなり難しいのに、それが30年先まで読み通せるかといえばまず不可能です。

人口が減り空き家も増え続けるなかで不動産投資は厳しくなる一方です。

慎重な計画と判断が必要だと思います。