東京出張 の続き。

22日(金)の徳億会に続いて、翌日23日24日の2日間は日本精神保健看護学会に参加した。

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会場は日本看護大学(東京都清瀬市梅園1−2−1)だが、くらしケアをやってなければ決して立ち入ることがなかった場所だと云える。

なぜなら高校すら出てない私だ。大学がどんな場所で大学の建物内がどのような雰囲気かを知る機会などない。

私は一応、大学受験の資格はあるから大学には行こうと思えば行けたが、当時は身体的理由と経済的理由で断念したのだけれど、くらしケアを始めてから岐阜大学へ講演におじゃましたり、岐阜県看護大学で勉強会に参加させていただく機会に恵まれている。

いまさら大学へ行きたいとは思わないが、雰囲気だけでも感じられる今、ささやかな喜びがある。



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さて、学界に参加した感想などを書きたい。

参加目的は3つあり、1つ目はくらしケアの管理職が発表するから彼の「晴れ舞台」を見たいと思ったことと、2つ目は、日ごろお世話になっている大学教授の先生方の発表を見るため。3つ目は精神保健分野で活躍している人たちの発表を見聞きして学ぶためだが、実は学会に参加するのはこれが初めて。

医師や看護師ら数百名が参加する大イベントだが、発表される内容はどれも興味深いものばかりだった。

そんななか、ある寄稿文が目を引いた。

抄録を手に取り読んでみると、他の寄稿とは傾向が明らかに異なる。

認定NPO法人 地域精神保健福祉機構・コンボの宇田川 健氏の寄稿文だ。

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精神科病院の存在に対するアンチテーゼと、そこで働く看護師に対する、やや否定的ともとれる言葉が並んでいた。(アンチテーゼの使い方、合ってるかな??)


病棟勤務しか知らない看護師に対して、以下のような言葉で苦言を呈しているのである。

「あなたも入院してみればいい、精神科医療を受けてみればいい」

「看護職の方は精神科医療を受けたことはありますか?」

精神科病院で働く看護師にとって患者が「十把一絡げ」でしか無いかもしれないが、患者も地域のなかで役割を持って生きているし、生活者として自由の中で暮らしているが「精神科病院の中にそれはあるのか?」と訴える。

精神病院の中で、看護職としての見方しかできなくなっている人を「看護メガネをかけている人」としたうえで、患者を「看護メガネ」でしか見れなくなっていないかと訴えている。

そして精神病院で働く看護師に対して患者ではなく人として向き合うことを望み、業務としてではなく人間的な看護が展開されることを、それは祈るように書かれていた。

精神科の地域医療を担うくらしケアは、看護メガネをかけたスタッフがひとりもいないと思うが、宇田川氏の寄稿を読み終え訪問看護の役割の重要性を改めて認識するとともに、病棟勤務の経験しかない看護師も本来なら患者の普段の暮らしを知るべきだと強く思った。

もちろん、病棟看護師のすべてに疑問を呈しているのではないだろうし、きちんと患者に向き合う姿勢で臨んでいる看護師も多く存在していると思うが、多くの患者家族は宇田川氏の言葉を肯定的に受け止めるのではないか。

私が思うに、これからも病棟勤務を続けるにせよ、看護師と名のつく方には、一定期間、訪問看護を実習ではなく実務として経験したほうが良いだろう。

これはポジショントークではなく、本当にそう思うのだ。


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