誤解を恐れずに言うとすべての看護師は在宅医療を経験したほうがいいのではないか。

病棟勤務を続けるにしても、在宅医療の現場を仕事として経験し、病棟勤務に戻ったほうがより良い看護ができるのではないかと思う。

先日、在宅医療分野で活躍する医師と出会い、その医師が地方都市で患者のために奔走する姿を見せていただいた。そして医師と共に患者家族を支える看護師やケアマネージャーで構成されるチームに出会ったのだが、これこそ多くの患者が求めている医療ではないかと思ったのだ。

実は医師と在宅医療の現場に同行させていただいた際、偶然にも看取りの現場に立ち会うことになった。

当事者でもない私に同行を勧めてくれたのだが、はじめはさすがに躊躇したが、そんな私に対し「ご家族の了解を得ているから大丈夫です」という。

ふつう、見ず知らずの亡くなった方の家へ上がることなどできるはずもない。

なのに彼ら彼女らは患者様家族と強固な信頼関係を築いていたから実現した。

訪問したお宅には数時間前に亡くなったベッドに横たわる90代のおかあさん。そして、介護離職して献身的に介護を続けたご長男が出迎えてくれた。

しばらくしてご長男と看護師と私は別室に移動、見ず知らずの私にこれまでの苦労話や在宅医療チームに対する感謝の言葉を時おり涙ぐみながら聞かせてくれたのだ。

ご長男には弟と妹がいる。3人きょうだいなのだが、私が出向いたときご家族のはご長男のみだった。

医師はいつものように会話をしながら思い出話をして兄妹の到着を待つのだが、医師は「死亡診断は全員ってからにしましょう」と言う。

一般的にこのような場合は兄妹の到着など待たずに死亡診断が行われると思うが、医師は「一生に一回しかないことだから」と到着を待とうと提案したのだ。

診断するまでお母さんは生きていることになる。せっかくだから生きてるうちに会いたいでしょうからと。

全員がそろうのに1時間ほど待っただろうか。母親を囲みながら穏やかな時間が流れていた。

私は昨年、義父を看取ったが、亡くなる瞬間に立ち会うことはできなかったし、ケアマネージャーの資質や力量の問題か、ケアマネジメントの部分で若干の後悔が残る看取りだったのだが、そのときとは全く異なる様子が目の前で繰り広げられたのである。

それは有名な病院、大きな法人に勤務している看護師やケアマネージャーが優秀とは限らないことを知った瞬間となった。

在宅医療を知っている人たち、実践者の素晴らしさを改めて認識した。

医療者でもない私がいうのは不適切かもしれないが、誤解を恐れずにいえば、現場にこそ看護の本質があるように思う。

そして「リアルワールド」を知らない看護師より、知っている看護師のほうが凄いと思ったのだ。

私が患者や患者家族の立場なら、病棟しか知らない看護師より在宅を経験した看護師に自分や家族を任せたい。

何も偉そうなことを言いたいわけではない。
患者目線で本当にそう思うのだ。

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※医師が経営するカフェ。



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