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NPO法人の理事長をつとめてたときの話。

まず最初に悩んだのが「非営利なんだから儲けてはいけない」というスタッフや関係者の意識。
当初の私は「そういうものなのか程度」の認識だったが、NPOを引き継いですぐ給料日に残高が不足するなどお金の問題に直面したことでそうも言ってられなくなった。

NPOだろうが株式会社だろうが、売上げや収益を上げなければスタッフに給料は払えない。業績が悪くなってもしばらく持ちこたえられるようにするには利益をあげるしかない。

これは一般家庭に置き換えてみると分かる。大黒柱のお父さんが病気で働けなくなったり、リストラされて給料が払われなくなったとしても貯金次第でしばらくはやっていけると思うが、会社もこれとまったく同じで蓄えがないといざというときに大変なことになる。そのために必要なのは利益だ。

障害福祉サービスは単価が決まっているため、売上げを増やすには「利用者数と利用頻度を増やす」しか方法がないのだが、そのためには利用者(保護者)に選んでもらえる施設にならなければならないし、利用者が通いたくなる場所にする必要がある。

ポイントはスタッフの笑顔だったりスタッフのモチベーション。こうしたことの積み重ねが業績に影響してくるのだが、新しい経営陣を迎えたスタッフの不安を取り除くため、定期的な会議の開催により理念の浸透を図り、懇親会を設けてコミュニケーションを円滑にする必要があった。

また、介護福祉事業の給与水準が低いと言われるように、関わったNPOの給与水準もとても低かったので可能な限り給与の見直しも行った。

「非営利法人は儲けてはいけない」と真に受けていたら大変なことになっていたと思う。
なぜなら非営利法人と営利法人の経営の仕方は実はなんら変わらないから。

収益を上げ、給料や社会保険料を払い、家賃やその他の経費を払うのは営利法人も非営利法人もまったく一緒。違うのは利益の取扱いだけ。営利法人は、先のもろもろのお金を支払ったのちに利益がでたら法人税を払い、払い終えたあとの純利益が法人に残る。

非営利法人は、先の「もろもろのお金」を支払ったのちに利益が残っても法人税は払わなくてよいという点だけが異なるだけ。

条件が同じなら非営利法人のほうが税金を払わなくて良いぶんより多くの貯めておくことができる。

また、仮に法人をやめたとすると、営利法人は関係者で分けることができるが、非営利法人は分けることができず、他の非営利法人か国に寄付することになっている。違いといえばこれだけだ。

経営という点では非営利法人であっても支出が収入を上回りつづければ倒産するのは営利法人とまったく同じ。

つまり、儲けなかったら維持できないのである。

私がNPOの運営で考えたことは、売上げを上げて利益を出すことはもちろん、法人内に必要以上に貯めるのではなく、職員の給料やボーナスで還元し、職員個人が払う所得税や住民税で社会に還元する流れを意識した。

そのほうが職員も豊かになるし、福祉サービスの質もより良くなるた思ったから。

ある人が言った。儲けるという字は「信」と「者」とでできている。つまり信じてもらうことができなければ儲けられないのであり、信じてもらうには良い商品、良いサービスを提供することだと。売上げや利益は信用の大きさを測るバロメーターなのだと。

なるほどと思った。

障害福祉サービスを立ち上げたら利用者を困らせたり不安にさせないためにも永続を意識しなければならないと思うし、永続するには強い財務体質が欠かせない。だから、非営利法人であっても正しいやり方で正しく儲けるべきなのだ。


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