空き家が社会問題になると思い、平成23年に立ち上げた会社がくらしケアの前身となる会社。

住まいに(住まいで)困っている人の役に立ちたいと起業しました。

当時の社名は住健トラスト株式会社。

住まいと健康、そして信用の意味のトラストの文字を組み合わせた社名でした。

建築ではなく健康の健を社名にしたのは空き家を活用すると決意表明のつもりでした。
(実際、郵便物の殆どは「住建」で届きましたが・・・)

事業開始後は空き家探しに明け暮れました。

ゼンリンの地図を片手に空き家を見つけてはマーキング。

アパートは入居状況を片っ端から調べて記録していきました。

そんななかで出会ったある空き家。

この空き家との出会いは居住支援への思いを決定づけるきっかけとなりました。

今回はそのあたりについて書きたいと思います。

よかったらお付き合いください。



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起業して初めて手がけた空き家は郊外に建つ一戸建て。

雑草が生い茂る、廃墟のような2階建ての空き家でした。

さっそく法務局で登記簿を調査したところ、記載された住所は空き家の住所と同じです。

要するに名義変更(相続登記)がされていない空き家でした。

登記簿で所有者が分からない場合、聞き取り調査するしかありません。

となり近所の家のインターホンを押すのですが、聞いたことのない社名のおっさん(当時43)が玄関越しに「ちょっといいですか?」と声をかけるのですが、100パーセント怪しまれます。

近年は個人情報をべらべらと話してくれる人はいません。

ですので所有者探しは難航するわけですが、飛び込み調査の対象エリアを広げて聞き取りを続けたところ、関東に住むという息子さんの情報にたどり着きました。

私はその情報をもとに手紙を書いて郵送しました。

なぜ手紙かというと電話番号も判明したのですが、いきなり電話だと怪しまれてしまうから。最初から悪いイメージを持たれてしまうことを避けるためです。

まずは誠意を込めた手紙を書いて送りました。


返事を待つこと数週間。

しばらくして手紙を読んでくれた息子さんから電話をいただきました。

汐留(東京)のビルのカフェで会うことが決まりました。


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待ち合わせ前に撮影した写真。日本テレビのビル。



実際に会って自己紹介したのち、空き家となった経緯などを教えていただいたのですが、あまりに切ない経緯でした。

長らく闘病していた母親が亡くなり、続いて父親が自死。

どうしてなのか理由もわからない突然の別れだったそうです。

息子さんはもともと名古屋で働いていたのですが、社命による転勤で家族と共に関東に住んでおり、事故当時はどうすることもできなかった。

そして実家は売るに売れない家になり、不動産屋に相談しても相手にされないかあまりに安い価格しか提示されず。

子どものころ、親と過ごした思い出の詰まった家なので無理に処分することをせず空き家のまま維持することにして約10年。現在に至っているとのこと。

その一方で、窓ガラスを割られるなどのイタズラも起きており、近隣の住民が不安が生じていることを説明、ご理解していただき、実家を私に任せていただくことになりました。


しかし問題があり、この空き家は市街化調整区域に建っていて、将来的に建替えしたくても建替えできない家。 このことも購入者を募るうえで問題を難しくしていました。

私はあらゆる手を尽くして可能性を見つけ、最終的には建替え可能な家として許可を取ることに成功。

しばらくして理解ある購入希望者が現れたことで、この空き家は解消し、息子さんに喜んでいただき、近隣住民にも感謝していただけたのでした。


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雑草が生い茂っていた空き家は新しい家主を得て生まれ変わりました。写真は庭先に植えられた花です。当時すごくうれしかったことを覚えています。


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私は住まいで困っている人の役に立つことを重視した活動を意識するようになれたのは、この空き家との出会えたから。

この体験を通じて住まいに対する考え方の軸ができました。

例えば、現在取り組んでいるハウジングサポート(障がい者の方の部屋探し)も、住健トラスト時代の取り組みでが原点で、精神障害を理由に部屋を貸してもらえず困っていた方の部屋探しを手伝ったことがきっかけです。

他には空室が増えて悩んでいた大家さんのアパートを、当時まだ一般的に知られていないリノベーションの手法で再生したうえで、障がい者や高齢者、シングルマザーや生活保護の方を優先的に入居させるアパートとして活用。
住まいを通じて大家さんの偏見を無くしたいという思いの原点になっています。

変わったところでは、お金の掛かる子育て世帯向けに空き家を活用し、家賃と変わらない負担で住める庭付き一戸建てとしてプロデュースした例で、子どもがのびのびと暮らせる家としながらも、空き家を所有する高齢の方に家賃収入をもたらし、老後の生活資金を確保するための仕組みとして考案しましたが、この仕組みは障がい者の親なきあと問題の解消に必要な「わが子の生活資金の確保」としていつでも再現可能です。


くらしケアは看護師の集団で看護師が主役ですが、居住支援は看護師の支援が最大限に発揮できる舞台としての位置づけで、そして親なきあと問題で悩むご家族の悩みを住まいを通じて少しでも解消できるための手段。

住まいは生活の中心。住まいが整えば暮らしは変わります。

住まいで困っている人の役に立つために、これからも知恵を絞っていきます。


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